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慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授

中村 伊知哉

1961年生まれ。京都大学経済学部卒。慶應義塾大学で博士号取得。 1984年、ロックバンド「少年ナイフ」のディレクターを経て郵政省入省。 通信・放送 融合政策、インターネット政策を政府で最初に担当するが、橋本行革で省庁再編に携わったのを最後に退官し渡米。 1998年 MITメディアラボ客員教授。2002年 スタンフォード日本センター研究所長。 2006年より慶應義塾大学教授。 内閣官房知的財産戦略本部 検証・評価・企画委員会座長、内閣官房クールジャパン推進戦略会議委員。社団法人融合研究所所長、社団法人CiP協議会理事長、社団法人デジタルサイネージコンソーシアム理事長、デジタル教科書教材協議会 専務理事、NPO「CANVAS」副理事長、ミクシィ社外取締役などを兼務。著書に『コンテンツと国家戦略~ソフトパワーと日本再興~』(角川EPUB選書)、『中村伊知哉の 「新世紀ITビジネス進化論」』(ディスカヴァー携書)、『デジタル教科書革命』(ソフトバンククリエイティブ、共著)、『デジタルサイネージ戦略』(アスキー・メディアワークス、 共著)、 『デジタルサイネージ革命』(朝日新聞出版社、共著)、『通信と放送の融合の こ れから』(翔泳社)、『デジタルのおもちゃ箱』(NTT出版)、『日本のポッ プパワー』(日本経済新聞社、編著)、『インターネット、自由を我等に』(アスキー出版局)など。

Profile

1961年生まれ。京都大学経済学部卒。慶應義塾大学で博士号取得。 1984年、ロックバンド「少年ナイフ」のディレクターを経て郵政省入省。 通信・放送 融合政策、インターネット政策を政府で最初に担当するが、橋本行革で省庁再編に携わったのを最後に退官し渡米。 1998年 MITメディアラボ客員教授。2002年 スタンフォード日本センター研究所長。 2006年より慶應義塾大学教授。 内閣官房知的財産戦略本部 検証・評価・企画委員会座長、内閣官房クールジャパン推進戦略会議委員。社団法人融合研究所所長、社団法人CiP協議会理事長、社団法人デジタルサイネージコンソーシアム理事長、デジタル教科書教材協議会 専務理事、NPO「CANVAS」副理事長、ミクシィ社外取締役などを兼務。著書に『コンテンツと国家戦略~ソフトパワーと日本再興~』(角川EPUB選書)、『中村伊知哉の 「新世紀ITビジネス進化論」』(ディスカヴァー携書)、『デジタル教科書革命』(ソフトバンククリエイティブ、共著)、『デジタルサイネージ戦略』(アスキー・メディアワークス、 共著)、 『デジタルサイネージ革命』(朝日新聞出版社、共著)、『通信と放送の融合の こ れから』(翔泳社)、『デジタルのおもちゃ箱』(NTT出版)、『日本のポッ プパワー』(日本経済新聞社、編著)、『インターネット、自由を我等に』(アスキー出版局)など。

これも学習マンガだ!~世界発見プロジェクト~

書籍はこのシリーズを薦めます。小学校高学年から高校生にかけてを想定しているので、対象年齢は高めですが。
かつてマンガは大人から子どもの敵だと目されていましたが、今やクールジャパンを支える日本の宝と評価されるようになりました。ただ、マンガと一口に言っても、海外にない多様なジャンルが成立しているのが日本の特徴。
「学習マンガ」と呼ばれる、図書館にも配備される教育的なものもあります。ぼくは子供のころ理科シリーズをむさぼり読み、高校ぐらいまではマンガの知識で押し通せるぐらい役に立ちました。歴史、経済、文学、さまざまなジャンルがあります。
ところが、商業誌に載る一般のマンガにも学習効果の高い、いや、いわゆる学習マンガ以上に学びになるものがたくさんあります。これを専門家が厳選して推薦するプロジェクトが「これも学習マンガだ!」。
昨年、100の作品を選出しました。いま追加50作品を選ぶべく厳しい作業が続いています。ぼくはその審査員として関わっています。

前回ぼくが個人的に推薦したのは、「ハルロック」、「宇宙兄弟」、「JIN」など。
ほかの作品も豊かな学びを提供してくれます。
今年もいくつも推薦していますが、それは結果をお楽しみに。


ウルトラマンシリーズ

子どもたちに見せたい映像作品。多すぎて迷います。美しい映画もあれば、教育番組もあります。迷った挙句、ここは自分の体験を持ち出すしかあるまい。そこでぼく自身が体験として最も刺激を受けたものを共有します。このシリーズ。
最初の「ウルトラQ」は1966年の放映で、ぼくは5歳でした。今でも大人の鑑賞に耐える作品です。でも当時、日曜の晩7:00という黄金の時間帯に流された子ども向けシリーズ。7:30からは「オバケのQ太郎」等の黄金アニメで、その前に見ていた実写モノです。
「ウルトラQ」に始まるシリーズには、当時の一級のクリエイターたちが、大向うもうならせる技術を動員し、これでもかと愛情を注ぎ込み、ギリギリまで練り上げた作品。Blu-rayやDVDなどでも見られるようになっているので、機会があれば親子でどうぞ。

中から3本のシリーズをピックアップします。

1) ウルトラQ
ヒーローは登場しません。怪獣や怪奇な現象に人々が立ち向かう短編集です。モノクロですが、最近、HDリマスター・カラー版が出されました。
「2020年の挑戦」は、肉体の退化したケムール人が人類の肉体を奪いに来る物語。怖いです。「1/8計画」は、人口過密を解消するために、人の身体を1/8に縮小する都市計画。怖いです。
打って変わって「カネゴンの繭」は、おカネの化物にさせられた子どものドタバタ劇。面白いです。そしていずれも、人とは何か、コミュニティとは何かを考えさせます。

2) ウルトラマン
宇宙からの侵略者をヒーローが守るという単純な勧善懲悪ではない点がこれを不朽の名作シリーズにしています。
「侵略者を撃て」。バルタン星人は、故郷の星が核実験で壊滅し難民となる。バクテリア大となった20億の星人が宇宙船で地球に逃れてきた。当時の地球の人口も20億人(今は70億人!)。それは困ると、人類はバルタン星人をやっつけるのです。共存はできなかったのか。
「故郷は地球」。元宇宙飛行士ジャミラは、不時着した惑星で体が変化して怪獣と化し、地球に戻ってきた。国連は科学特捜隊にジャミラ抹殺の指令を下す。最後はウルトラマンの水攻めで叫びながら絶命します。人類は彼を救えなかったのか。
親子の対話の材料になります。

3) 怪奇大作戦
ウルトラマンシリーズではありませんがこちらもピックアップします。「ウルトラセブン」の後番組。「ウルトラQ」と同様、ヒーローは登場せず、SRIという組織が難問に立ち向かう科学ドラマです。
第一話「壁ぬけ男」。追い詰められた怪盗が、海底からの箱抜けマジックに挑む。沈むに従って怪盗の顔が歪み、断末魔。水圧で箱が押し潰されるという科学の謎や死のリアリティーは、子ども心に強烈な衝撃を残しました。
名監督・実相寺昭雄さんが撮った「京都シリーズ」2作、「呪いの壺」や「京都買います」に至っては、よくぞこの時間帯にこんな濃い作品を流したものだと、当時の放送人の度量に驚きます。
前者は、贋作の壺を作り続けさせられた職人の息子が、旧日本軍の作り出した放射性物質を使って復讐を図るもの。後者は、愛するあまり仏像を物質転送機で消していく女性にSRI牧さんが恋をする。そして金戒光明寺、平等院、圓徳院、東福寺、銀閣寺、常寂光寺、祇王寺を巡る・・・。
子ども向けにこれだけの熱量を発する番組は、今はもうありません。

監督・監修:円谷英二/円谷一/飯島敏宏/野長瀬三摩地 商品名:「ウルトラマン Blu-ray BOX」<全3巻> 発売元:円谷プロダクション 販売元:バンダイビジュアル 著作:(c)円谷プロ


タブレット

玩具はタブレット端末を推します。
数年前から東京おもちゃショーでも子ども向けタブレット端末がたくさん紹介されるようになり、タブレットは幼児が遊び、学ぶ機器として認知されたと思います。
私は、与えるなら大人も使う汎用機を渡し、豊かなデジタル環境を与えればよいと考えます。もちろんそれで子守りをさせるのではありません。親子が一緒になって、読み聞かせをしたり、探求したり、何かを作ったりしてほしい。そんなことが1台でできる。素敵な万能玩具です。
Webやアプリでいろんなコンテンツに接することができます。だから書物であり、絵本であり、教科書にもなります。新聞も雑誌もマンガも読めます。テレビであり、ラジオでもあります。ゲーム機でもあります。知識を得たり、学んだりするにはこの上ない機械です。
ただ私は、ここでは受け身の学びよりも、「創作する」「表現する」機能に注目したい。タブレットとネットがあれば、タダでできます。

1) 映像
映像を撮ったり、作ったり、編集したりする。それをみんなに見てもらう。デジタルはそれを可能にしました。カメラで写真や動画を撮ってショートムービーを作る。パラパラ漫画のアニメを作る。そのための無料アプリもたくさんあります。
大昔、文字がなかったころ、アルタミラやラスコーに壁画が残るように、おそらく人類は映像で考え、映像で表現していたのでしょう。世界のみんなと映像を共有できるようになったデジタル世代も、映像で考えて表現するようになるでしょう。
タブレットはその入口になります。

2) 音楽
ピアノ、ギター、ドラムなどの演奏ができる無料アプリがあります。簡単に音楽を奏でることができます。また、いろんなフレーズパターンを組み合わせて曲が作れるなど作曲アプリもあります。
紙と筆があれば、誰もがお絵描きしようとします。だけど音楽は、きちんと弾けないと楽器をいじろうとしないし、作曲はかなり難業です。いつの間にか表現や創作の敷居が高くなってしまいました。
これを取り戻したい。誰もが気軽に音を発したり、音楽を作ったりできるようになるといい。タブレットはそのきっかけを与えてくれます。

3) 文字
問題は文字です。映像、音楽に比べ、情報量(ビット量)が少ないのに、表現の難易度は高い。文字を覚えて、言葉を覚えて、文法を知って、表現する術を知る必要があります。いきおい小学生からってことになりますよね。
さて、これにふさわしいツールやアプリは何かなぁ。ワープロソフトもメールもブログも、いずれも無料で揃います。親子で文字コミュニケーションを取っていただければ。でもその前に気になるのは、入力。キーボードじゃなく手書きを大事にしたい。タブレット用のペンも精度が上がってきました。ペン入力で字を書いてみることから始めてはいかが。


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